三式トニーの試作車両雑記

自衛隊の試作車とかまとめてます。一言添えてくれれば転載自由です

地雷排除作業機(SW)

多分世界で自分しか調べていない、そもそも存在を知っている人が5人もいなさそうな自衛隊のドドドマイナー車両がこの「地雷排除作業機」です。知っていた方はコメントください、是非語り合いたいですf:id:type3fighter:20211205234536j:image戦車前方にチェーン式地雷処理装置を搭載し、地雷原に敷設された各種地雷を誘発させ地雷原突破のための通路を切り開くために開発されました。1955年8月に対戦車地雷の爆発強度の強度試験を行い、高速撮影による記録で設計基礎を得ます。そして56年6月に試作されたチェーンの強度試験が施設学校で行われました。車体側は同年3月から「SW」の略記号を付与されM4A3を用いて試作、7月に完成します。8月から技術試験が始まり、結果は

  • 重量が7トン増加したが運転性能は良好
  • 機構各部の対爆強度は十分だが、チェーンは爆発時に飛散する為強度増加の必要あり 
  • 操作上の安定装置とチェーンの回転出力に不足あり

と主に強度、出力面で問題がありましたが、改修すれば実用化できるという評価でした。しかし、この後本車はなぜか実用化されることなく歴史の闇に葬られることになります。当時は61式戦車など国産基礎戦力の配備が最優先でしたので、恐らく予算の都合が原因でしょう。ちなみに61式戦車に装備する試製地雷処理ローラーが1970年に試作されますが、こちらはSWとは違いディスクローラー式で、次の92式地雷原処理ローラもディスクローラー式です。f:id:type3fighter:20211206164914j:image黎明期自衛隊による知られざる試行錯誤が今のディスクローラー式に繋がったといえるかもしれませんね。ではまた!

 

参考資料:

戦後日本の戦車開発史

防衛庁技術研究所年報 第5号