化学偵察車SC/化学防護車(装軌)
82式指揮通信車をベースに開発された化学防護車はよく知られていますが、実は60式装甲車をベースにした装軌式の化学防護車も存在しました。
化学偵察車(SC)
NBC兵器に対する防護装置を持たない60式装甲車をベースにしたため、主に扉部分などの密閉度を高め、車体機銃を撤去しNBCフィルターを装備したことで汚染環境での行動が可能になりました。汚染写真では見えませんが後部には検体採取用のマニピュレーターも装備されました。1969年に試作され、略記号「SC」は化学兵器を意味するCBRからとられています。
略記号に関する詳細はこちらhttps://type3tony.hatenablog.com/entry/2021/12/04/234057
SCの試験結果を受けて1974年に制式化されたのが化学防護車(装軌)です。
化学防護車(装軌)
ベース車から密閉性が上げられ覗き窓が付けられた右扉がポイントです。また左扉に備えられたマニピュレーターから、後継にあたる化学防護車(装輪)への系譜が感じられます。放射能測定器や大気測定用のガス・サンプラーも装備されており、外気をその場で分析することが可能だったようです。しかしマニピュレーターは動作が遅く、検体採取に時間が掛かるなど評判はよくありませんでした。
制式化はされたものの、大宮駐屯地の中央特殊武器防護隊に数両が配備される程度と試験的な採用に留まり、大規模なNBC偵察車両の配備は後継にあたる化学防護車(装輪)までありませんでした。
次回の記事もお楽しみに!ではまた!