三式トニーの試作車両雑記

自衛隊の試作車とかまとめてます。一言添えてくれれば転載自由です

60式SPRGを使ったミサイル駆逐戦車

64式対戦車誘導弾は、強力な砲を積まずとも敵戦車を撃破できる期待の新兵器として、ジープなどの軽車両に搭載されました。さらに60式自走無反動砲に搭載し、ミサイル駆逐戦車として運用することが1964年に企画され、2種類のタイプが試作されました。

 

1種類目はスタンダードに正面に2つのミサイル発射器を備えたものです。

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1964年に60式試作車SS-4を改造したもので、106mm無反動砲を撤去し左右両袖部にミサイル発射器が設置されています。発射器の支持軸を見るに、走行中など発射時以外はある程度車体側に格納できるように見えます。

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2種類目は前後にミサイル発射器を備え、対地警戒レーダーAN/PPS-4を搭載した偵察駆逐戦車と呼べる代物です。

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AN/PPS-4対地警戒レーダー

 

こちらもSS-4を改造したもののようです。3両試作された内の別車両か、前述したスタンダードタイプをさらに改造したものでしょうか。

 

しかし、両車に共通する問題として64式対戦車誘導弾は弾速が非常に遅く命中までに時間がかかるため(73式小型トラックと比較してか)わざわざ隠蔽性に欠ける60式自走無反動砲を使う必要はないという理由で不採用に終わったようです。

 

ドイツがKJPz.4-5をミサイル駆逐戦車を改造したように、日本でも対戦車自走砲をミサイル駆逐戦車に改造する計画があったのです。

次回の記事もお楽しみに!ではまた!